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【座談会:後編】今、リスクマネジメント部で求められる人材とは


穴田圭/竹井康活/伊藤亜梨沙
左から 穴田圭/竹井康活/伊藤亜梨沙

 
 


リスクマネジメント部で求められているのは、投資だけでなく事業会社の成長に向き合う「事業経営の視点」


ー今、リスクマネジメント部では、どのような人材が求められていますか?


穴田圭/竹井康活/伊藤亜梨沙

竹井

総合商社が行う事業投資において求められる素養は、そのコアとなる部分は変わりませんが、事業会社の経営の高度化や当社を取り巻く世の中が変化するにつれて、質的な変容を遂げている印象はありますね。


もっと具体的にいうと、以前でしたら企業価値を数字に置き換えるバリュエーションを始めとする投資のイロハを押さえていれば、それなりに当社の営業部門やその先にある社外のステークホルダーに貢献することが出来ましたが、今はそれに留まらず、より多面的なスキルが求められる時代の変化を確実に感じる部分があります。




穴田

そうですね、これまでも会社を買収したり、既存投資先を売却したりするシーンでは、リスクマネジメント部として貢献していけるよう、専門性を深めていこう・磨いていこうという動きがあった一方で、そのような事業投資のライフサイクルの入口と出口だけの関わりではなく、もっと事業会社を育てていこう、バリューアップしていこうという「事業経営の視点」から貢献できる人材・知見が求められていますね。


社外取締役をやらせて頂いていた時に思ったのが、リスクマネジメント部の仕事は、時には営業が推進する案件を牽制する慎重さが求められますが、「グループになった会社を大きくしていこう」という目的は、営業部と同じということです。そういう意味で、営業部隊とリスクマネジメント部隊との垣根はますます低くなっています。事業会社をどのように成長させようか、取締役会で経営者とどのように向き合っていこうかという点で、営業と「One Team」という意識で仕事をしています。




竹井

バリュエーション業務というのは、重要なピースではあるものの、リスクマネジメント業務のほんの一部にすぎません。その事業会社に深く入り込み、投資後の100日プランを策定・推進したり、ガバナンスの仕組みを設計・運用したり、色々な側面で活躍の場が広がり、またそのような人材が求められています。私の入社当時にはなかったさまざまな機会が、今のリスクマネジメント部の業務にはあると感じています。


穴田 圭 / Kei  Anada …リスクマネジメント第三部部長

穴田

これまで蓄積してきたM&Aやバリュエーション・撤退戦の戦い方等、「入口」「出口」に関わる専門性を深めていくことに加えて、営業部隊や事業会社の経営陣と共に事業会社の戦略を考え、どのように事業を育てていけば良いかを考えるといった「事業経営の視点」から積極的に関与すること。今のリスクマネジメント部には、この両方が求められていますね。


時折、営業の視点で発言しているのか、全社視点で発言しているのか、分からなくなるところもありますが(笑)、「アクセル」と「ブレーキ」のどちらか一方の事だけを考えていれば良い訳ではなく、事業投資の成功確度を高めるべく、適切なバランスがどこにあるのかを日々考え続けなければなりません。自分が入社した頃と比べると、本当に投資支援・審査等業務の担当として求められる領域の裾野は広がっています。だからこそ、自分が成長できるというやりがいがある仕事ですね。




伊藤

事業会社の企業価値最大化を支援するために、現場に寄り添いつつも、全社視点で意見具申をする。そういったバランス感覚は、リスクマネジメント部の業務においてとても重要ですね。


私自身、リスクマネジメント部の一員として、アジアの事業会社の社外取締役をさせて頂きながら経営陣と向き合うことで、「取締役会の活性化」というところに貢献できるよう、取り組んでおります。取締役会を通じて事業会社についてマネジメント目線で深く議論する、といった貴重な経験をさせて頂いています。


当部には、キャリア採用で入社された方が増えています。前職で培った専門性やノウハウを期待されてキャリア採用として入社されますが、入社後はそれぞれの強みや個性を活かしつつ、当部の人材として「さまざまなことに好奇心をもって取り組めるか」「営業部や関係部署と切磋琢磨し、投資支援・審査等のプロフェッショナルとしての付加価値を提供できるか」ということが求められていると思います。


リスクマネジメント部では、投資の知識だけではなく、財務・会計・法務などの幅広い知識や多角的な視点が求められるので、守備範囲が広くやりがいがある反面、必要な知識を吸収して自己の成長を磨くことが重要になりますね。


伊藤亜梨沙 / Arisa Ito …リスクマネジメント第三部部長付


求められる人材のキーワードは「チームワークとパッション」


ー「事業経営の視点」以外に、どのような人材が求められていますか?


竹井

自分の個性や強みを発揮すると同時に、リスクマネジメント部は、社内外の関係者と知恵を出し合いながらプロジェクトを前に進めたり、現場で組織をマネージするチームワークや組織力が求められたりする仕事でもあります。そのため、色々な関係者と同じチームで働くことを楽しめる方が求められていると思います。


竹井 康活 / Yasukatsu Takei …リスクマネジメント第三部チーム長

伊藤

新しいことに挑戦する好奇心と、バランス感覚ですね。

さらに、さまざまな関係者と連携・情報共有し、信頼関係を構築することで、コミュニケーションを活性化すること。部署を超えた横の連携によって、広い視点をもつこと。そうして投資支援・審査等の機能を発揮することが重要だと思います。




穴田

パッションですね。

経験や知識という観点ではM&Aやファイナンスの知識、クロスボーダーの案件の経験など、細かく言い出したらきりがないですが、我々リスクマネジメント部は、営業部署との信頼関係をベースに、時には牽制したり、時にはドライブをかけたりと、バランスをとりながら伴走する仕事です。そのため、専門的な知識に加えて、「自分でやりたい」「もっとこの組織に貢献したい」というパッション。この両輪を回していける人には、ぜひチャレンジして頂きたいと思っています。




リスクマネジメント部で培うナレッジや人脈は、世界でも通用する


ー伊藤さんのように、海外の現地法人から本社採用された方についてどう思われますか?



穴田

非常に歓迎ですね。これまでは現地採用の方は現地の事業所で就業頂く、ということが一般的でした。ですが、今は伊藤さんのように、海外で働いている方が日本に来て、同じリスクマネジメント部の業務を行う。その逆も含め、今の時代当たり前の働き方だと思います。リスクマネジメント部の仕事は、全世界でもある程度同じ知識やインフラを共有していたり、ナレッジや人脈でつながっていたりします。


海外でリスクマネジメント組織の業務に従事していた方が、言語的な強みやローカルナレッジという強みをもって、引き続き海外案件含めて、東京でもリスクマネジメント部の即戦力として働いて頂く。


今、伊藤さんにはアジアの事業会社の社外取締役になってもらっていますが、元々シンガポール時代に担当していた事業の延長線上の領域でもあるので、すぐに溶け込んでもらっている。日本にずっといたメンバーが、海外へ行きすぐにビジネスで知見が働くかというと、なかなか難しいところもあります。社内でもトレーニー制度で、海外の事業所で実務経験をしながら学べる機会がありますが、伊藤さんのように投資支援・審査等のスキルという共通インフラ・専門性を生かして、国内外で活躍して頂けることは、私自身とても嬉しいですし、自分の足りないところを補完してくれていて、非常に頼もしく感じています。




竹井

今や、リスクマネジメント部メンバーが活躍するフィールドは、「どこかの地域の投資事業・審査等業務の担当になる」というキャリアに留まらず、全世界の会社での然るべきポジションや、自身の専門性をはしごにして異なる組織で活躍の場を広げるなど、大きな多様性をもって広がっています。やる気やケイパビリティがあれば、年齢を問わず、そういうチャンスが無限にあるのがリスクマネジメント部の強みなのではないでしょうか。




ーご自身の今後のキャリアについて、どうお考えですか?


穴田圭/竹井康活/伊藤亜梨沙

竹井

私が金融機関からキャリア採用で入社してから約15年、振り返ると、2割は自身の専門性を発揮しながら組織に貢献する一方、8割は当社のリスクマネジメント部の哲学や、投資及びその周辺スキルなど幅広く学ばせて頂く場でした。このようなキャリア形成を経て、この先10年20年を見据えつつ、キャリア採用者としてのバックグラウンドがある自身が、住友商事のリスクマネジメント担当として培ったケイパビリティを活かしながら、投資のプロフェッショナルとして、自分ならではの付加価値をどのように出していけるかを、真剣に考えていきたいと思います。




伊藤

事業投資や経営課題が複雑化する中で、国内外の案件を問わず、幅広く支援できるような経験を積むこと。また、現在の経験を活かして、ガバナンス強化や経営課題の解決に向けた取組みに繋げていけたらと思っています。


人材育成の観点では、将来の成長に繋がる土台を築いていくために、部下や後輩へ対する指導や多様性の推進等を含めて、人材育成に貢献していきたいです。




穴田

私は二つの方向性を考えています。一つは、現状リスクマネジメント部として、事業会社の外部から価値向上の支援をさせて頂いていますが、現場の事業会社の中に入り直接的に経営に参画し、その会社の成長を実現させたいという思い。もう一つは、新卒から入社して出向期間を除き23年間、総合商社のリスクマネジメント部の業務に従事してきたという経験を活かし、急激に変化する外部環境や会社から求められている機能・役割等も踏まえ、総合商社である当社のリスクマネジメント部の機能を、どう捉え直していくかを、今後も考えていきたいと思っています。




竹井

穴田さんが先に、リスクマネジメント部と営業の垣根が低くなっているとおっしゃっていましたが、自分が中途入社した時と比べて、今は営業だけでなく、コーポレートとの垣根も低くなっていますね。

変わりゆく社会環境の変化を踏まえ、事業価値最大化に向けて、リスクマネジメント部としても、どのように最適化していくか。まさにそのような視座に立ったプロジェクトが多数動いているので、今後がますます楽しみです!



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